コラム

慢性胃炎の仕組み

今までは少しぐらいムチャをして飲んだり、食べたりしても大丈夫だったのに、最近はすぐに「胃もたれ」や「胸やけ」を感じるようになった・・・。これは、胃が弱ってきたサインです。

健康な胃は、食物を消化するのに必要な「胃酸」と、胃酸から胃粘膜を守る「粘液」の量 のバランスが保たれています。しかし、加齢、体調、食生活などの影響を受けて胃が弱ってくると、粘液の分泌量 が減少し、そのバランスが崩れてしまいます。その結果、胃の粘膜が荒れてしまうのです。それが胃炎であったり、ひどくなると潰瘍に発展します。また、弱った胃では食べたものをしっかり消化していくための正しい蠕動運動を行うことができません。これら2つの理由があわさって、胃もたれなどを自覚するようになるのです。

胃を車に例えると・・・

人間の正常な胃は新車の車のようにピカピカにひかっています。

それは胃の粘膜上に粘液がはられており、胃を守っているからです。

逆に、加齢などにより胃の粘膜が萎縮するとまるでワックスがはげた中古車のように粘膜が萎縮し粘液量が減ります。

例えば、道路を走っていて、泥がはねたとします。

泥がはねても、ワックスが塗ってあれば、汚れはすぐにとれますが、ワックスがはげていると汚れはなかなかとれません! 泥は日常におけるストレス 、暴飲暴食 、睡眠不足 、飲みすぎ、食べ過ぎ 、 などです。

正常な胃(ワックスが塗ってある車)ではたいしたことがなくても、粘膜の萎縮が進んでいる胃(慢性胃炎=ワックスのはげた車)では胃に対する負担が大きいのです。

症状があるのに『胃カメラで異常なし』といわれた方へ

さあここで重要なお話です。胃カメラは食道・胃・十二指腸の中を見る検査です。胃の粘膜が荒れていないか?潰瘍やガンができていないか?については胃カメラで判断することができます。

しかし『胃がイタイ!』という方は、そもそも胃が本当に悪さを起こしているのでしょうか?胃の周辺には、胆のう、すい臓があり、それらの臓器の疾患による痛みも考えられます。(例:胆のう→胆石、胆のう炎、すい臓→膵(すい)炎)

ポイント!

これらの消化管以外の疾患の除外には腹部超音波検査(エコー)が有効です。胃の検査の時には朝ごはんを食べず胃の中が空っぽになっているわけですから、超音波検査を同時に施行してくれる施設を選ぶといいでしょう。

また胃が悪いとしても胃が痛くなるのは胃の中の変化だけではありません。胃腸の動きや働きによっても痛くなったり、膨満感を呈したりします。そのような機能的な胃腸の障害によって引き起こされる症状を胃腸機能障害といいます。

消化管は 食道→胃→十二指腸→小腸(空腸・回腸)→大腸→肛門といっていろいろな名前がついてはいますがそもそも『ひとつの管』なのです。

当たり前のようでこれは見落とされがちな事実です。つまり胃が調子悪いと腸に負担をかけるわけですし、腸が悪いと胃に負担をかけるということです。

医師は胃だけを診てもだめ!腸だけ診てもだめ! 消化管を全体として診察しなければいけません!

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