子どもの胃腸病
乳幼児や子供の消化器は、機能がまだ未熟な為に、風邪をひいたり、細菌に感染すると胃や腸などの消化器系の働きがみだれ、下痢や嘔吐を起こし易くなっています。
乳幼児は病気の際、「痛み」「吐き気」などの体調の不良を自分では訴えられません。
また、身体の抵抗力がまだ、不十分な為に症状の変化が激しく成人とは大きくその対応が異なります。
乳幼児の病気はちょっとした事で、重篤になり易く、異常に気づいたら直ちに小児科で診察を受けるべきです。
急性胃腸炎
病態
細菌性胃腸炎とウィルス性胃腸炎に分類されます。細菌性胃腸炎はいわゆる「食中毒」で、夏に多く発症します。大腸菌、キャンピロバクター菌、サルモネラ菌、病原性大腸菌O-157などが原因です。ウィルス性胃腸炎は、いわゆる「かぜの胃腸炎」です。
分類
細菌性胃腸炎
- 大腸菌
大腸菌は大腸の中に生息する常在菌ですが、中にはO-157のように、毒素を分泌して病気の原因になるものがあります。大腸菌は、加熱すれば死滅するので、生ものはよく火を通してから食べさせるようにします。サルモネラ菌: 腸に生息する腸内細菌の一種ですが、食中毒や腸チフスの原因となる菌です生の肉や卵によくついている細菌ですが、熱に弱いので火を通すと死滅します。 - ブドウ球菌
傷口を化膿させたり、食中毒の原因となる菌です。調理をする人の手の傷に繁殖したブドウ球菌から食中毒を起こすときがあります。 - キャンピロバクター菌
ペット(犬、猫、小鳥など)から感染することが多い菌です。ペットと遊んだ後はよく手を洗うように心がけます。
症状
- 細菌性胃腸炎
症状の特徴は、血便や下痢(ときに膿性)、激しい腹痛、反復する嘔吐、発熱で、重篤化しやすく、早めの医師の診察が必要です。 - ウィルス性胃腸炎
水のような下痢、嘔吐、発熱、鼻水、咳などのかぜの症状を伴います。重篤化はしにくいです。
治療
- 細菌性胃腸炎
治療は、水分補給と消化の良い食べ物による食事療法ですが、重篤化しやすく、できるだけ早く、医師の診断を必要とします。 - ウィルス性胃腸炎
水のような下痢、嘔吐、発熱、鼻水、咳などのかぜの症状を伴います。重篤化はしにくく、治療は、水分補給と消化の良い食べ物による食事療法が基本です。
周期性嘔吐症
病態
「自家中毒症」「アセトン血性嘔吐症」とも呼ばれます。2~8歳くらいの子供に多く発症します。原因は糖分や脂肪の代謝によって生じる血液中のアセトン体という物質が代謝の異常によって増加し、中毒症状を起こし。吐く発作が起きる病気です。神経質な性格の子供や、発熱しやすい子供、熱が出るとすぐに吐く子供、やせていて体力があまりない子供がかかりやすく、かぜや疲労、ストレスがきっかけで起こします。
症状
急に元気がなくなり、発作的に激しく吐きます。吐くものがなくなっても、コーヒーのカスのようなものを何度も吐きます。何を食べさせても吐いてしまい、腹痛を訴えるときもあります。
吐いたものは、アセトン臭(りんごが腐ったようなすっぱい)が特徴です。ほとんどの場合は、2,3日~1週間で軽快しますが、発作を毎年、数回繰り返す子供もいます。
検査
尿検査で尿中のアセトン体を調べます。
治療
嘔吐がひどい場合は無理をして食事をさせず、砂糖水やスポーツドリンクなどを少しずつ与えます。吐き気がおさまったら、流動食から始め、徐々に普通食に戻します。規則正しい生活を送らせることも大事です。この病気で大事なことは、母親があまり神経質にならないことです。この病気に生命の危険が伴うことは少なく、落ち着いて対応することが大事です。
幽門狭窄症
病態
胃の出口である「幽門」の内側の壁が厚くなり、食物の通り道が狭なってしまう病気です。1/4000人の割合で発病しますが、詳しい原因は、わかっていません。
症状
乳幼児の場合、症状は生後2~3週間後くらいから現れます。授乳後の「噴出性嘔吐」が特徴です。乳幼児ははいた後もぐあいが悪いそぶりはみせませんが、次第に栄養不足になり、体重が減ってきます。また水分も不足するので便秘にもなります。
乳幼児の胃はしまりが悪いので、授乳しているとだらだらとミルクを吐くことがありますが、これは病気ではなく心配いりません。
検査
超音波検査にて胃の出口(幽門)の狭窄を調べます。
治療
乳幼児が授乳後にミルクの噴出性の嘔吐をするときは、早急に医師の診断を受けるべきです。軽度の場合は薬で対症しますが、重度の場合は手術が必要になることもあります。手術は厚くなっている胃の壁を切開します。